天国か地獄か、士業の今後は?
士業ビジネスの今後は厳しさを増すばかり、と言われることが少なくありません。
その理由として取り上げられるのは、
人工知能(AI artificial intelligence)や
デジタル・トランスフォーメイション(DX digital transformation)
などの進展によって、多くの士業はその仕事を奪われる、という論調です。
とりわけ後者は「デジタル技術による破壊的な変革」を伴うものとして多くの士業に恐れられています。
こういった議論に歩調を合わせるかのように取り上げられるのが「プロダクト・ライフサイクル理論」です。
士業ビジネスは、このライフサイクルの右側:「衰退期」に位置する、というものです。
士業をビジネス市場としてみたときに、
仮に士業ビジネスが成長期にあるとするとその市場への新規参入者数も右肩上がりとなるはずですし、
はたまた仮に衰退期にあるとすると同様に右肩下がりになる、と考えられます。
そこで、各士業のビジネス市場への新規参入者数の推移を確認してみました。それが以下のグラフとなります。
上記のグラフは弁護士、検察官、裁判官の予備軍となる司法試験受験者数の推移を示しています。
青の縦棒グラフが山形をしており、右肩下がりであることがわかります。
同様に公認会計士試験受験者数の推移が下記のグラフであり、形状はほぼ同様に推移しています。
以下、念のため税理士、司法書士、社会保険労務士についても確認してみます。
最後に行政書士試験の受験者数推移についても確認しました。
これらのグラフは、対象とする年次や期間がバラバラではありますが、おおむね右肩下がりの形状をなしている点で共通していることが読み取れることでしょう。
稼げる市場であるか、稼げない市場であるのか? という観点から士業ビジネスの市場をみたときに、
新規参入者数が減ってきていることは、それだけ輝きが失せ魅力が失われているものと考えてよろしいのではないでしょうか。
そこで、「士業は天国か地獄か?」という冒頭の疑問については、
「士業の先行きはお先真っ暗!」 ( It ’s pitch black !)
「地獄の入口に立っている」 ( into Hell's Mouth ! )
と結論付けることもできそうです。
とはいえ、「士業」という言葉で括る市場にあっても、当事者である各士業諸氏もおわかりのように、
業種や業態によってその実態はさまざまに異なります。
次回は、
士業は稼ぎやすいのか、あるいは稼ぎにくいのか?
儲かるビジネスか、そうでないのか?
といった少し違った角度から士業ビジネスを見ていきましょう。